- 一度聴いたら忘れられないメロディー
- 子どもをひきつける、子どもの歌声
- ミュージカルのようなレコーディング風景

2.子どもをひきつける、子どもの歌声
曲ができて、録音を考えたときに、「子どもの歌は、絶対に子どもが歌うべき!」と思いました。世界的に有名な子ども向けのCDでも、歌っているのは大人の歌手ばかりです。ちょっと想像していただければわかると思いますが、子どもに歌を練習させて、本番の数回できちんと歌わせるのは難しいんです。時間がかかれば、スタジオ代も高くなってしまいますし、編集も大変でしょう。大人の歌手を使うほうが楽。でも、あえて「子どもが歌う子どもの歌」に挑戦しようと決めました。
この「やさしい英語のうた」CDは、英語がわからない子どもでも、曲が始まると釘づけになります。子どもの声は国際語みたいなもの。言語以前の問題で、子どもは子ども同士、仲間の声がわかる。子どもが本当に喜ぶのは、子どもの歌声なんです。
それで、歌ってくれる子どもたちを探すことにしました。ブロードウェーでミュージカル『CATS』などに出演したこともあり、現在は子どもたちに歌のレッスンをしている先生にお願いしたんです。
「子どもの歌を作るプロジェクトに協力してもらえませんか?歌のうまい子を何人か、紹介してほしいんです」と言うと、
「どんな歌なのか、聞いてみないとわからない」。
その通りだなあと思って、先生の前で歌ってみせました。「Do You Have a Pet?」「What Color Do You Like」などでしたね。
歌が終わったら、先生がきいたんです。「何人くらい必要なの?」私が「5、6人かな」と言うと、「だめ、それじゃ足りない。15人くらいは必要でしょう」と言ってくれました。
「今までいろいろな人から頼まれても、こんなことは引き受けたことがなかった。でも、あなたの歌は純粋で、心を打たれた。わたしの生徒たちにも、ぜひ歌ってもらいたい」ってね。
歌詞が子どもの世界をよく表現していて、大人が書いたとは思えない。子どもが自分で書いたみたいな歌だって、気に入ってくれたんですね。
たとえば「Do You Have a Pet?」の、「Do you have a pet? ― No, But I have a brother.」って、会話としてはちょっとおかしいけど、子どもが言いそうなことでしょう?大人にはない発想で、子どもはみんな大喜びする。小さい子が車なんて持ってるわけないのに、「But I have a car.」なんて、男の子が得意になって歌っているのも、おもしろいですよね。
こうして、オーディションを受けて歌のレッスンに参加している子どもたちを紹介してもらいました。3歳から12歳の子どもたちです。CD1のジャケット写真に写ってるのは17人だけですが、写真撮影の日に来られなかった子もいたので、最終的には29名が参加したんですよ。
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